A1:地図の歴史と種類 ~球体を平面にする挑戦~
完璧な地図は存在しない?
やあ!コネクトだよ。
いきなりだけど、「距離・面積・方位・角度」のすべてが正しい世界地図なんて、この世に一枚も存在しないって知ってた?
地球は「球体」で、地図は「平面」。ミカンの皮をきれいに広げられないのと同じで、どこかが必ず歪んでしまうんだ。
だから人類は、目的に合わせて「何かを犠牲にして、何かを正しくした」いろいろな地図(図法)を発明してきたんだよ。
1. 地図の要素とひずみ
地球儀は最も正確な模型ですが、持ち運びや全地域の俯瞰には不向きです。そこで、球体を平面に投影する「地図投影法(図法)」が使われます。
しかし、平面化する過程で、以下の4つの要素のうち、必ずいくつかにひずみが生じます。
- 距離:2点間の長さが正しいか。
- 面積:大陸や国の大きさが正しいか。
- 角度:現地の角度が正しく表現されているか。
- 方位:ある地点からの方角が正しいか。
2. メルカトル図法(正角図法)
大航海時代(1569年)に、ジェラルドゥス・メルカトルが考案した地図。 「角度」が正しく表現されるため、現在でも海図やGoogleマップなどのWeb地図で利用されています。
ちさまるの疑問
メルカトル図法だと、北極に近いグリーンランドが、南アメリカ大陸と同じくらい大きく見えるけど…本当はもっと小さいよね? どうしてこんなに大きくなるの?
コレクトの論理 de 解説:拡大率の数学
メルカトル図法は、「経線(縦の線)」と「緯線(横の線)」を、直角に交わる平行な直線として描きます。
実際の地球では、経線は北極・南極で一点に集まります。つまり、高緯度になるほど経線の間隔は狭くなります。
しかし、地図上で経線を「平行(間隔が一定)」にするためには、高緯度ほど横に引き伸ばす必要があります。
ここで重要なのが「正角(角度を正しく保つ)」という条件です。横に引き伸ばした分だけ、縦にも同じ比率で引き伸ばさないと、形(角度)が崩れてしまいます。
緯度を \(\phi\) とすると、その地点の拡大率は \( \frac{1}{\cos \phi} \) に比例します。緯度60度では \(\cos 60^\circ = 0.5\) なので、拡大率は2倍(面積は4倍)。緯度80度では数倍にも膨れ上がります。これが、高緯度の国が巨大に見える数学的な理由です。
【等角航路】:この地図上で2点を結んだ直線は、常に舵角(進行方向)を一定に保って進めるコース(等角航路)となり、航海に最適な地図となります。
3. 正距方位図法(中心からの距離と方位が正しい)
中心(例:東京)から見た「距離」と「方位」が正しい地図。中心以外からの距離・方位は正しくありません。
- 用途:航空図(飛行機のルート)、無線のアンテナの向き。
※中心から目的地へ引いた直線は、地球上の最短コースである「大圏航路(たいけんこうろ)」となります。 - 特徴:中心から離れるほど、地形が歪みます。一番外側の円周は、地球の裏側の一点(対蹠点:たいせきてん)を表します。
4. 正積図法(面積が正しい)
各国の面積比を正しく表現した地図。統計データの分布(人口密度など)を示すのに適しています。
Ping! いろいろな正積図法
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モルワイデ図法
地球全体を楕円形で描く。高緯度のひずみが小さい。 -
サンソン図法
中央の経線と赤道が直線。低緯度の形は正しいが、端っこが尖る。 -
グード図法(ホモロサイン)
サンソンとモルワイデを合体させて、海を切り裂いた形。陸地の形と面積のバランスが良い。
まとめ:目的に応じて使い分けよう
| 図法名 | 正しい要素 | 主な用途 |
|---|---|---|
| メルカトル図法 | 角度 | 航海図、Web地図 |
| 正距方位図法 | 中心からの距離・方位 | 航空図 |
| モルワイデ図法など | 面積 | 分布図(人口、生産量) |
ちさまるの学び
「等角航路」と「大圏航路」、言葉は難しいけど、船で行くか飛行機で行くかの違いなんだね! 地図って奥が深いなぁ。PON!